5日間で治療できる感染症5つ!
- COPD急性増悪
- 市中肺炎
- 腎盂腎炎
- 膿瘍のない蜂窩織炎
- 感染源コントロールができた腹腔内感染
なぜこの話題を?
今回はACP Hospitalistより、抗菌薬5日間で良い感染症の話題です。抗菌薬は短ければ短いほうがよい、という風潮が大きく、短期間治療で非劣性であったという論文がどんどんでています。
抗菌薬投与期間が7日や28日という1週間区切りになるのはカレンダーのせい。今回紹介する記事の筆者は5なら指の数と一緒だから覚えやすいんじゃないの?と指摘しています。ちなみに指には手相学などで、以下のような意味が付与されています(ChatGPTによる)。
- 親指: 自我と意志力
- 人差し指: リーダーシップと権力
- 中指: 責任感と法則性
- 薬指: 創造性と表現力
- 小指: コミュニケーションと知識
今回は、5日間✕5つの感染症とわかりやすく紹介されていたものを紹介します。ただ、「特定の抗菌薬で5日間治療した場合」という条件付きもあるので注意が必要です。
ACP Hospitalistより
Less definitely more in antibiotics
https://acphospitalist.acponline.org/archives/2023/05/17/less-definitely-more-in-antibiotics.htm5日間で治療な感染症5つ
- COPD急性増悪
- 市中肺炎
- 腎盂腎炎
- 膿瘍のない蜂窩織炎
- 感染源コントロールができた腹腔内感染
批判的?吟味
COPD急性増悪
COPD急性増悪時の抗菌薬は5日間は大丈夫そうです(GOLDガイドライン)。ステロイド全身投与も昔は14日間でしたが、5日間で非劣性が示されています。抗菌薬も5日間、経口ステロイド5日間でシンプルです。
市中肺炎
市中肺炎も5日間(ATSのガイドライン)でありますが、経過がよければ3日間でもよいかも、という研究もあります。フランスの研究なので日本で当てはめられるかは外的妥当性に懸念ありですが。経過次第です。
腎盂腎炎
市中の腎盂腎炎であれば5日間とか1週間とかよく言われます。が、あくまでキノロンでの治療での研究です。キノロン耐性大腸菌が多いので、なかなかこれを適応できる方はいません。なので、「腎盂腎炎5日間」は慎重に対応が必要かと。
膿瘍のない蜂窩織炎
蜂窩織炎では、全体的には良くなっていても局所の発赤が残り、ついつい抗菌薬が長く投与されがちです。5日で止めても本当にいいのかな?と思う症例は多々あります。
レビュー(Ann Intern Med.2021;174:822-827.)をみると、5日で良いという論文はリネゾリドやレボフロキサシン、フルクロキサシン(日本未承認のPC系抗菌薬)などを使ったもので、実臨床には当てはめにくいです。
抗菌薬5日間処方し、経過よければそこで終了、悪ければ延長、というのが現実的なプラクティスでしょうか。
感染源コントロールができた腹腔内感染
経皮的あるいは外科的ドレナージができた腹腔内感染症では5日間でよいでしょう。とはいっても、元論文は4日対8日で比較されており、4日間でもよいはずです。やっぱり1週間とか5日とか、切りの良いところに数が寄ってしまいますね。
合併症のない(膿瘍のない)軽症憩室炎では抗菌薬は不要とも言われています。まだ実践する機会はありませんが。
まとめ
5日間で治療できる5つの感染症の記事を紹介しました。厳密に5日で大丈夫?その抗菌薬で5日で大丈夫?と疑問は残りますが、Shorter is better.の流れは変わらないでしょう。