論文紹介

EPLBDを行うと、総胆管結石の再発が減少する

ざっくり

P(患者):再発した総胆管結石患者
I(介入):EPLBD (endoscopic papillary large balloon dilation)
C(比較):通常のEST(Endoscopic sphincterotomy)
O(結果):その後2年間の総胆管結石再発が減少(NNT7)

総胆管結石の再発は悩ましいもので、繰り返す患者さんは繰り返します。特に高齢の患者さんの場合には、次に再発したときにERCPを安全に行うことができるのか、行うべきなのか悩ましいことが多々あります。総胆管結石の再発に対して、EPLBDを行うと次の再発が減少する、という論文。

Endoscopic Papillary Large Balloon Dilation Reduces Further Recurrence in Patients With Recurrent Common Bile Duct Stones: A Randomized Controlled Trial

Xu Wang, et al.

Am J Gastroenterol 2022;117:740–747. https://doi.org/10.14309/ajg.0000000000001690

デザイン:RCT(内視鏡医、患者、患者や手技情報に関わる研究実施者は非盲検化、その他の研究実施者、統計家は盲検化)、ITT解析
セッティング:西安病院、第一西安交通大学附属病院(中国)の内視鏡センター2施設。2014年~2021年

患者:総胆管結石を再発した患者180名(年齢中央値64.5-66歳、女性54%)
主な除外基準:良性または悪性の胆管狭窄、胆嚢結石または肝内胆管結石、3ヶ月以内の総胆管結石再発、すでにEPLBDされている患者、B-IIやRoux-Yなどの消化管再建術後など

介入
両群ともにESTを実施、胆道造影し、総胆管結石確認後、総胆管径を測定。
・EPLBD群:10-15mm CREバルーンで結石径のサイズまで拡張。下部総胆管の径以上には拡張しない。
・対照群:内視鏡医の判断で追加EST可(乳頭の開口部が十分でない場合、結石除去困難時)

基金:中国国家自然科学基金

結果概要:2年間での再発がEPLBD群21.1%、対照群36.7%(NNT7)
(膵炎が両群1例ずつあり、出血・胆道感染・穿孔・死亡はなし)

EPLBDを行うことで、2年間での総胆管結石再発リスクが絶対リスク減少15%(NNT7)とインパクトのある結果でありました。EPLBD診療ガイドラインでも再発割合について触れられていますが、観察期間がそもそも違うのでなんとも言えませんが、4.4-14.5%とありました。1回再発している患者が対象になっているので、通常の患者に比べると再発率はぐっと高くなっているものと思われます。

合併症についても、ERCP後急性膵炎がそれぞれ1例あるのみで、その他の出血や穿孔といった合併症はありませんでした。自分自身がEPLBDをするわけではないのですが、再発を繰り返す患者さんには行っていくのがよいかもしれません。

 

 

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