ACPJC

FODMAPをへらす食事指導をするスマホアプリはIBSの症状を改善する

まとめると

P(患者):プライマリ・ケアセッティングでのIBS患者

I(介入):FODMAPを減らす食事指導をするスマホアプリ
C(対照):オチロニウム
O(結果):IBS-SSSが改善

なぜこの論文を?

IBSの患者さんにはFODMAPを避けましょう、と指導しています。

FODMAPは消化しづらく腹満の原因になりえる成分を含むもの

三原弘 著「うんこのつまらない話」p.31より

FODMAPは上記の食べ物に含まれるのですが、これをきっちりと指導することはできません。

FODMAPを減らす食事指導をしてくれるスマホアプリはIBSの症状を改善するか?という研究です。

ACP journal clubより

In IBS, a smartphone application for self-managing a FODMAP-lowering diet vs. otilonium bromide reduced symptoms at 8 wk
http://doi.org/10.7326/J22-0059

臨床疑問:プライマリ・ケアセッティングで、IBS患者に対し、FODMAPの摂取量を減らすための食事を自己管理するスマホ・アプリケーションは、オチロニウムと比べて症状を改善するか?
デザイン:RCT
盲検化:割付の隠蔽化は不明。非盲検化
セッティング:ベルギーのプライマリ・ケア

患者:459名のROME IV基準に合致し、新規に治療開始されるIBS患者
年齢中央値41歳、女性70%
主な除外基準:現在の消化管疾患、過去3ヶ月以内または3週間連続のオチロニウム使用、現在のFODMAP除去食または過去のFODMAP低減食利用、腹部手術歴

介入:それぞれ8週間
I(n=227):スマートフォンまたはタブレットようのアプリ(自己決定理論に基づき、食事のアドバイス、FODMAP低減食をサポートするための特定食品の摂取回避または低減の指示、レシピ、メニューおよび買い物リストの作成用のインタラクティブツール)
C(n=232):オチロニウム40mg 3回/日

基金:ベルギー医療知識センター(Nelle Stocquart and Hilde Nevens)、ローマ財団研究所(Rome Foundation Research Institute)。

結果概要:プライマリ・ケアセッティングで、新規に治療開始したIBS患者に対し、FODMAP低減食を自己管理するためのスマホアプリは、オチロニウム試用に対して8週間及び16週間で症状が減少したが、24週間では減少しなかった。

批判的?吟味

FODMAPとは?

FODMAPは消化しづらく腹満の原因になりえる成分を含むもの

三原弘 著「うんこのつまらない話」p.31より

発酵食品であるヨーグルトや果物類は腸によさそうなイメージがありますが、不溶性食物繊維をIBS患者さんが摂取すると腹痛の原因になります。生活指導をしたいところですが、外来でFODMAPについて説明するのは大変です。

いままではこのような開業医さんのサイトを患者さんに紹介して食べ物について確認してもらっていました。

FODMAPアプリって?

こんなアプリがあれば便利!と思って元文献も読んでみましたが、オランダで開発されてフランス語とオランダ語には対応しているようです。日本語でないの?と思ったのですが、今回の論文とは関係ないモナッシュ大学が作った英語版アプリがありました。

英語で980円(記事作成時)となると、少し二の足を踏んでしまいます。英語に困らない患者さんなら勧めてみてもいいかも・・・ですが。

割付の隠蔽化不明、盲検化なし

この研究はスマホアプリvs薬剤で比べているので、なかなか盲検化は難しいです。しかし、隠蔽化はできたのでは?とは思います。

アウトカム判定者を盲検化しても、QOL評価がプライマリアウトカムなので、あまり意味はなさそうです。

また、対照群のオチロニウムは、日本では使われていない薬剤です。日本だと下痢型だとイリボーを、便秘型だとリンゼスが使われることが多いので、少し一般化しにくいですね。

まとめ

FODMAPを減らす指導をしてくれるアプリを使用すると、IBS重症度スコアが改善するという結果でした。日本語のアプリがないため、実臨床にそのまま活かすことはできませんが、IBSの患者さんは多いので今後の開発されることを期待します。

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