ACPJC

終末期のブスコパン皮下注はrattlingを予防する

まとめると

P(患者):予後3日以内の終末期患者
I(介入):ブスコパン20mg 1日4回皮下注
C(比較):プラセボ
O(結果):rattling(死前喘鳴)が減少する(NNT8)

ACP journal clubより

癌患者でも非癌患者でも終末期のケアは重要です。死の直前には、下顎呼吸やrattling(死前喘鳴)が起こり家族が動揺することもあります。もちろん、家族の方には「ご本人がしんどさを感じているわけではないのですよ」と説明し不安を和らげます。そうはいっても大切な家族が苦しそうにしているのは耐え難いことです。終末期のrattlingを予防するための研究です。

Prophylactic scopolamine butylbromide reduced death rattle in patients in the dying phase
https://doi.org/10.7326/j22-0005

臨床疑問:ホスピスの終末期患者にブチルスコポラミン臭化物はrattling(死前喘鳴)を予防するか?
デザイン:RCT
盲検化:隠蔽化(患者、臨床医、データ収集者、アウトカム判定者、データ解析者)
セッティング:オランダの6病院

患者:162名(年齢中央値75,78歳、女性56%)
予後3日以内と予測されるホスピス入所患者
主要除外項目:気管切開、気切チューブ、抗コリン薬・オクトレオチド使用、活動性の呼吸器感染、すでにrattlingが出現

介入:ブチルスコポラミン臭化物皮下中(留置皮下カテーテルで20mg1日4回)
予後3日は他職種チームで評価(ADLベッド上、半昏睡状態、液体を一口しか飲めない、嚥下できない)

基金:オランダ保健研究開発機構の緩和ケア研究プログラム、Laurens Zorg in Balans、カランドプロビデントファンド財団。

結果概要ホスピスの終末期患者にブチルスコポラミン臭化物皮下注はrattling(死前喘鳴)を予防する。

今回はブチルスコポラミン(ブスコパン)が、終末期のrattlingを予防するという論文です。rattlingが起こったか否かはかなり主観的な評価項目になるため、盲検化・隠蔽化は非常に厳密に行われており5重(患者、臨床医、データ収集者、アウトカム判定者、データ解析者)です。これ以上厳密にしようがありません。元論文を読むと、非がん患者は16%とやや少なめでありますが、終末期であれば非がん患者にも適応可能なデータと思われます。

ブチルスコポラミンは抗コリン薬であるため、不安感・口渇・尿閉が懸念されますが副作用についても群間で有意差はありませんでした。

海外ではブスコパンの貼付薬があるようですが、吸収などに問題があるようです。皮下留置針から間欠的に投与するのであれば、患者への負担も少なく期待される効果が高いと考えられます。

 

こちらの記事もおすすめ

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です