ACPJC

weight-lowering drugs(減量薬)を生活習慣改善に加えると、成人肥満の減量を上昇させる

ACP journal clubより

In adults with overweight or obesity, adding weight-lowering drugs to lifestyle modification improves weight loss
https://doi.org/10.7326/J22-0024

臨床上の疑問
成人の肥満患者に対し生活習慣の改善に、減量薬を加えることの有効性と安全性は?

方法
対象は減量薬を使用したRCT
・対他の薬剤、プラセボ、比較薬剤なし
・患者は肥満患者
・治療期間は12週間以上
主な除外:組み合わせた薬(剤形が1剤になっているものを除く)、精神疾患や正常体重者を対象にした試験、クロスオーバー試験

対象となった研究
143のRCT(n=49,810、年齢中央値47歳、女性が75%、BMI中央値35kg/m2)、観察期間中央値24週間。これらの論文アブストラクトでは、減量薬間の比較は報告されていない。

基金
外部資金なし

結果概要
成人の肥満患者に対し生活習慣の改善に、特定の減量薬を加えることで体重減少させられるが、副作用による薬剤中止のリスクが上昇する。

Phentermine-topiramate (Qsymia)、GLP-1 RAsが効果が高いという結果でした。副作用による中断もそれなりにあります。最近、経口GLP-1アゴニストのリベルサスが使用できるようになりました。リベルサスについて、少し調べようとGoogleで検索すると、ダイエットの広告がわらわらと出てきます。検索トップもダイエット目的のページが表示されるので、この業界は関心が高く、金になるのでしょう。
GLP-1作動薬も胆道系副作用が多いと報告されています(DOI: 10.1001/jamainternmed.2022.0338)。他の薬剤も副作用は多々あるのでBMI35以上の肥満でもないのに、単純なダイエット目的の減量薬使用は避けたいです。

今回もネットワークメタアナリシスによる論文でした。もとになったRCTでは減量薬同士での比較が報告されていなくても、検討できることが魅力的な研究手法です。どの薬が一番効果があるの?安全なの?に答えてくれます。一方で、異質性や一致性の問題があります(ただ、私にはこれを評価する能力がないため、ACP journal clubに依存しています)。通常のメタアナリシスもゴミ論文を混ぜればゴミ分析になるだけなので、同じような問題ははらんでいるのでしょう。
近年、急激に増えています。

今回検討された痩せ薬いろいろ

GLP-1 RAs
L-カルチニン
メトホルミン
Bupropion-naltrexone (Contrave)
Bupropionは抗うつ薬、Naltrexoneはオピオイド拮抗薬。Bupropionが視床下部のproopiomelanocortin (POMC)ニューロンを活性化させ、食欲を減退させる。NaltrexoneはBupropionの作用を増強する。
Orlistat (Xenical)
Orlistatリパーゼ阻害剤として作用し、吸収を阻害することでカロリー摂取を軽減する。当然、副作用として下痢がある。
Phentermine-topiramate (Qsymia)
Phentermineはアンフェタミンと薬理学的に類似。視床下部での空腹感の減少、脂肪細胞の貯蔵細胞を分解させる。
Topiramateはもともとてんかん治療と片頭痛予防の薬。体重減少の副作用がある。
安全性の懸念からQsymiaはヨーロッパでは承認されていない。
Pramlintide (Symlin)
アストラゼネカから販売されているアミリン類似薬で糖尿病治療薬。胃内容排泄を遅らせ、GLP-1と異なる視床下部受容体を介して満腹を促進。など
SGLT2 inhibitors

 

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